心不全治療薬-日本人の薬剤投与量-

心不全の治療には循環器学会から、心不全治療のガイドラインというものが出ており、
それに従い治療を行っています。このようなガイドラインは諸外国では多人数を対象とした
臨床研究のデータを対象とした事実(エビデンス)を元に作成されております。
ただ我が国では、このようなエビデンスの蓄積がまだ少ないため、諸外国のデータをそのまま
使用していることが多いのが現状です。そのため海外のデータをそのまま日本の患者さん
に当てはめることが、果たして妥当なのかいつも疑問に思っておりました。
ひとつ薬の投与量に限っても、欧米人の投与量と日本で保険医療として認められる投与量
との間には、人種間の体格差を考えても大きな差があり、現在の日本の投与量で良いかが問題でした。
先日、出席しました日本心臓病学会ランチョンセミナーで、東京慈恵会医科大学教授の
吉村先生より興味深いお話がありました。すなわち心不全の治療薬として、よく使われる
アンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシンⅡ受容体拮抗剤はいずれも、現在
日本で使っている投与量で、患者さんの予後に良い効果をもたらすとの結果であった。また同じく
心不全で良く使われるβ遮断剤は、脈拍が70/分以下まで低下する程度の量を使うと有効とのことでした。
以上の点から、保険で認められる薬剤使用量で、患者さんに充分よい影響を与えている可能性が示唆
され、現在の治療がそれなりに意味があると確認することができました。