高血圧に合併する蛋白尿は要注意

腎臓の機能については血清クレアチニンという検査が有名です。しかしこの検査値は病気がかなり悪くなるまで異常値とならず、この検査だけでは病気の進行を 見逃す危険性があります。最近用いられている、より正確な腎機能を評価する検査として、推算糸球体濾過量(eGFR)があり年齢、性別、血清クレアチニン から計算します。糸球体濾過量がある一定以下に低下した方は慢性腎臓病(CKD)と呼ばれ、CKDのなかで最も重症の方が透析患者です。透析患者の数は日 本腎臓学会の統計では全国民の約500人に1人とされています。ただこのような透析患者は膨大な数のCKD患者の一部(氷山の一角)にすぎず、糸球体濾過 量の軽度低下の方を含めるとCKDを有する方は、実に全国民の約6~25人に1人と言われています。CKDを放置しますと前述のように透析が必要となることがありますし、透析に至らなくてもCKDがあるだけで心筋梗塞、狭心症、脳梗塞などの血管性合併症の発症の危険性が高くなります。
 CKDの進行と密接に関係するのは蛋白尿です。腎臓では糸球体バリアーという網の目があり、この網の目を通して尿をろ過して作っています。蛋白尿が出る ということはこの網の目が障害されて、本来網の目を通らない蛋白が尿に出ていることを示します。蛋白尿は腎臓自体を障害します。ある統計では尿蛋白陽性者は陰性者と比べて糸球体濾過量の 低下速度が約2倍になるとされており、蛋白尿があるだけで、将来腎機能の悪化をきたす危険性が高くなります。当院でも高血圧に蛋白尿が合併している方の治療は、特別な注意をはらっています。高血圧は腎機能の悪化の最も重要な危険因子です。高血圧に加えて蛋白尿があることで、腎障害の悪化する速度はさらに速くなります。この場合に はアンギオテンシン転換酵素阻害剤(ACE)やアンギオテンシン受容体阻害剤(ARB)など腎臓を保護する降圧剤を使い、血圧を十分に下げ、少しでも尿に 蛋白が漏れることを防ぐよう努めます。幸い初期であればこのような治療を行えば、腎機能の悪化を予防し、進行を遅らすことができます。高血圧で尿検査に2+以上の蛋白尿のある方は、是非かかりつけの先生にご相談ください。