ー「ハドソン川の奇跡」機長、究極の決断ーを読んで

 先日、医療安全や安全一般のことについて思うことがあり、C.サレンバーガーの上記の
本を読みました。皆さんもご記憶にあるでしょうか、何年か前にニューヨークの空港で離陸
直後にジェット旅客機が大量の鳥の群れと衝突(バードストライク)しすべての推力を失い
ニューヨークのハドソン川に緊急着水した事件がありました。この際に一人の犠牲者
も出さずに見事に緊急着水を成功させたC.サレンバーガーは一躍、時の人となりオバマ
大統領の就任祝賀会にも招待されたとのことです。ただ私はこの本を読んで感銘することは
若い頃より飛行技術を磨き、フライトのときにはチェックリストで充分な準備を行うなど
著者がその長いキャリアの中で毎日毎日努力を怠らなかったことです。この本の中で
著者は幸運に恵まれたと謙遜していますが、決してこれは幸運ではなく著者の日々の
努力が着水するまでのわずか数分間の判断に結実されたものだと思います。
著者も言っていますが、ジェット機のような重量のあるものが安全に飛んでいるのは
決して当たり前ではなく、安全に飛行させるための飛行士をはじめスタッフの努力が
その陰にあることを忘れてはいけないと思います。振り返って医療のことを考えると、人間の
体というのは非常に不確定な要素が多く、刻々変化する患者さんの状態に対して的確な判断を
下すことは本当は大変な作業であると最近実感するようになりました。医療において何も事故が
起こらないこと、無事であるということを実現するには大変なエネルギーを要するということが
もっと世間一般の方に認知されることを切に願います。