専門化時代の総合内科専門医の役割

 医学の進歩がめまぐるしく、ますます医療が細分化し一人の医師の力
だけでは広汎な内科の領域をカバーすることが困難になってきました。
 例えば心房細動のカテーテルインターベンションという心臓の中の異常な刺激の伝導路
を電気焼灼する治療は、高度の専門的技術が必要であり、適応や治療の実施
について専門医に意見を求める必要があります。私も一応、循環器専門医ですが
専門医でも循環器のすべての領域をカバーできないのが実情です。
 総合内科専門医(内科専門医)という制度は現在のような専門化の時代を見越して、内科疾患
全般を診ることが出来るジェネラリスト(総合医)の育成を目的に創設されました。
この資格を得るには長い研修を経て、難しい試験をパスしなければいけません。
私が1983年に内科専門医になったころには、日本に300名未満に過ぎませんでした。
以上、決して自慢ではありませんので念のため。
 木を見て森を見ずと言いますが、内科全般に広汎な知識を要求する内科専門医
という制度は、極端な専門化により木(臓器)のみを見て、森(全身)を見ることがおろそかになる
風潮を防ぐことに一定の役割を果たしてきたと考えます。

 ただ時代が変わり、内科専門医に要求される診療レベルはますます高くなりました。今では
少し知っているだけでは、種々のケースに対応できなくなっており、今後、時代の流れに
従い内科専門医も、自己の意識を変えていく必要があると考えます。即ち何を知っているかという
ことのみが重要ではありません。何を知らないのか、あるいは何が出来ないのかということを
自分に常に問い直し、自己の力の及ばないことには専門医の意見を聴くという謙虚な姿勢
が求められているのではと思います。分かっていないと、自分に分かるためには、それ相当の努力がいります。
例えば、医学上の最新の学説や知識に、常にアンテナを張り巡らす必要があります。

 もちろん一般医が何でも専門医に、すべて丸投げするのはよくありません。紹介する場合には
必ず専門医と一緒に患者さんを診て、専門医の知識を吸収し今後の診療に役立てるよう努めています。