神戸市東灘区(甲南山手) 内科・循環器内科 高血圧・糖尿病・高脂血症・心不全


つじもと内科・循環器内科

低血糖は分かりにくいのでご注意

昔から「患者が震えたら、医者も震えろ」と言う言葉があります。これは患者がガタガタと震えたら、重篤な病気の可能性があるのですぐに対応しないといけないと言う意味です。患者が震えてまず考えないといけない病気は重症の感染症であり、血液にばい菌が入ったとき(敗血症)には直ちに治療を開始しないといけません。
 ここでいきなり犬の話になって恐縮ですが、我が家の犬(ゴールデンレトリバー、6歳、オス)が先日夜にガタガタと震えだしました。触ってみると熱はないようでしたが、歩き方がフラフラして、何となく視線がこちらと合わない感じで明らかにいつもと様子が違います。まさに「犬が震えたら、飼い主も震える」状態となり、慌てて箕面市の動物救急病院に連絡して車で連れていくことになりました。その日の様子を聞いてみますと、朝からエサを食べておらず夕方の散歩の時も元気がなかったとのことです。そこでひょっとして低血糖ではないかと思い、砂糖を舐めさせたところ5-10分で普通に歩けるようになりました。念のため動物救急病院に連れて行った後は、未明にエサをガツガツ食べだして翌日には元気になりました。振り返ってみますと低血糖の原因は一日中エサを食べていない状態に加え、その日の運動の量もやや多かったのではなかったのかと考えています。獣医さんも低血糖の可能性があると言っておられました。
 ヒトの低血糖もなかなか診断が困難です。低血糖は糖尿病でインスリンを投与注射したり、血糖を下げる薬を飲んでおられる方には、まず頭に入れておかないといけない重要な問題です。食事が十分に摂れず、運動量が多くなったときなどに発症するリスクが高くなります。一般的に低血糖の症状は胸がドキドキする、体が震える、汗をかくなどの交感神経の亢進症状が現れるとされていますが、重症では脳にブドウ糖が供給されないことによる昏睡などをきたすことがあります。高齢の方ではこのような典型的な症状ではなく、めまい、ふらつきなどの形をとることがあります。厄介なことに軽い低血糖症状を放置していると、低血糖に対する感受性が低下し低血糖になっても症状がない、無自覚性低血糖になってしまうことがあります。また低血糖による不快な症状は、糖尿病の治療の継続を困難とさせますので、上記のような症状に心当たりがあるときは必ず担当の先生にご相談ください。低血糖の治療法にはブドウ糖10g(薬局で売っています)を内服することが有効ですが、詳しくは担当の先生とご相談ください。

カテゴリー:お知らせ   |   2022年4月3日

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