暑い夏に備えて準備を!!
この原稿を書いているのは、まだ6月末ですがこの時期でもすでに運動会や体育の授業などで熱中症となり搬送されたとの報道がしばしば見受けられえます。このように熱中症というのは暑さが厳しくなったときに起こると一般的に思われていますが。暑くなりかけたばかりで、梅雨期など皆がまだ暑さに慣れていない時期に起こる熱中症にも注意が必要です。今後ますます暑さが厳しくなりますので、熱中症を予防するための一般的な注意についても説明いたします。
人間が暑熱環境にさらされたとき、体の中にこもった熱を下げる
には2つのメカニズムがあります。即ち皮膚の表面への血液量
を増やして熱を外気に捨てるか、汗をかいて気化熱で体温を下げる
かのどちらかです。暑いときに水分や塩分を充分に補給できず、このメカニズムがうまく働かなかったときに、熱中症が起こります。高齢者では皮膚へ血液を運ぶ機能が弱く、体表面でうまく熱を逃がすことができないことがあります。また暑さに対する感受性が低下することも高齢者で熱中症の発症が多い原因と考えられています。
熱中症の症状としては、めまい、ふらつき、筋肉のけいれんなど
いろいろな症状がありますが、暑熱環境に暴露したあとに起こる
体調不良などの諸症状を熱中症と呼んでいいと思います。
熱中症の発症年齢については、当院受診の大多数を占める70歳以上の高齢者に限れば男性は80歳前後、女性では80―84歳に発症のピークがあります。そのため高齢者の熱中症対策が大変重要とされています。
また熱中症は高齢になるほど、中等症や重症の割合が高く、高齢者
では50%以上が中等症以上で高齢者の熱中症は重症化しやすいことに注意が必要です。また発生場所としては、高齢者の熱中症のおよそ半数が住居内で発生しています。
これからますます暑くなります、本当に暑くなる前に以下のチェックリストを参照いただき、熱中症対策を立ててください。
1.日当たりの良い窓にカーテン
直射日光が室内に差し込んでいるとエアコンの効きが悪くなります。カーテンで直射日光を遮り、室温上昇を防ぎましょう。
2.扇風機やエアコンの準備
暑くなってからでは間に合いません。エアコンはちゃんと
動きますか?今から試運転しておきましょう。
3.冷蔵庫に水とおしぼり
日本茶やコーヒーなどは利尿効果があるため、水分補給には
向きません。冷えた麦茶を冷蔵庫に用意してください。スポーツドリンクでもかまいませんが、スポーツドリンクには多量の糖分が含まれておりますので糖尿病などの持病のある方はご注意ください。またのどが渇いていなくても暑い時期には定期的に少しずつ水分を摂るようご注意ください。介護をしておられる方にご注意をお願いいたします。ご年配の方の中にはのどの渇きを訴えられない方がおられます。暑いときは食事以外に口喝を訴えられない場合でも、定期的に水分摂取をうながしてください。
4.暑さになれる工夫(定期的外出、軽い運動)
暑さになれるため少し体を動かして汗を出すようにしてください。今後さらに厳しい暑さの時期を乗り越えるため、夕方など日差しの強くない時期にウオーキングなどの軽い運動をして少しずつ暑さに慣れるようにしてください。また最近もマスクをつけてウオーキングをされている方を見かけますが、政府の見解でも屋外でのマスクは推奨されていません。暑いときにマスクをつけると、体に熱がこもり熱中症の誘因となる可能性があります。屋外ではマスクを外して運動、外出を楽しんでください。
5.暑いときにシャワーや体拭きができるか
汗をかいた後には、水分が蒸発あとに皮膚の表面に塩分が付着する
ことがありますが、皮膚の表面から水分が蒸発しにくく、先に
述べたような気化熱で体温を下げるしくみがうまく働かないことが
あります。シャワーを浴びるかこまめに体を拭きましょう。
6.部屋の温度を測っているか
皆さんは体温を測っておられますが、部屋の温度はあまり測って
おられないように思います。高齢になりますと暑さに対する感受性が低下しますので、暑くなっても気が付かない可能性がありますので、こまめに室温をチェックしてください。一般的に気温が30℃以上になると急激に熱中症の発生頻度が高まるとされていますので、エアコンをつける部屋の温度
の目安は30℃と考えてください。ただし梅雨期など湿度の高い時期にはエアコンをつける温度をもっと低くする必要があります。
7.困ったときの連絡先はあるか
熱中症で体調が悪くなったときどこに連絡するのか、今から確認
しておきましょう。かかりつけの先生、訪問看護、ケアマネージャー
などの連絡先を確認しておいてください。
カテゴリー:お知らせ | 2023年7月7日