院長のひとりごと 新型コロナ感染症全数把握の是非について
昨今、国においては発熱外来や保健所業務が切迫した地域において、緊急避難措置として、発症届けを重症化リスクのある方に限定することを可能としたことから、兵庫県としては検討の結果、全数把握の中止については見送ることといたしました。(8月30日件新型コロナウイルス感染症対策本部決定)確かに報告の患者対象外となった重症化リスクのない方のフォローアップが困難となり、このような方が重症化した場合の対応方法が明確にされていないことなどよりあくまで私見ですが、今回の県の決定は妥当な判断と考えます。
新型コロナウイルス感染症を現在の2類感染症からインフルエンザのように5類感染症に変更することが政府内で議論されています。諸外国においても戸外でのマスク着用を緩和するなどコロナとの共存の方向に舵を切ったところも見られるようになりました。ただ新型コロナウイルス感染症をインフルエンザと同等に扱うという点については、まだ現時点ではそこまで割り切って考えることができません。その理由としては新型コロナウイルス感染症での死亡率は重症化率が少なくなったといっても、まだインフルエンザより高いことが挙げられます。加えてこの3年間コロナは怖いという観念が一般にしみついており、風邪と同じように扱いましょうといっても、すぐには皆の意識が変わるとは考えられません。社会のコンセンサスを得るにはもう少し時間が必要かもしれません。さらに現在5類感染症であるインフルエンザは全数把握ではなく一部の拠点病院からの定点報告であり、拙速に2類から5類に変更すれば、それこそ重症化リスクの有無にかかわらず患者のフォローアップに問題を生じ、患者の不安をあおって医療現場が混乱するのではないかと考えます。
神戸市のホームページを見ても市内の新規感染者数や療養者数はようやく減少に転じ、第7波の終息に希望が見えてきました、しかしコロナとの付き合いはまだまだ続きそうです。コロナに対抗するにはワクチン接種がなんといっても大切です。第7波ではオミクロン株が猛威をふるってきました。今冬の寒い時期には第8波の襲来に注意しなくてはなりません。今秋よりご高齢の方など4回目接種の対象者から、従来のワクチンをオミクロン株対応の新ワクチンに切り替えることが政府から発表されました。オミクロン株による感染の重症化予防には従来のワクチンに比べ、新ワクチンがより有効であることが期待できます。ワクチン4回目接種がお済でない方は是非この機会に新ワクチンを接種いただきますようお願いいたします。
カテゴリー:お知らせ | 2022年9月4日