神戸市東灘区(甲南山手) 内科・循環器内科 高血圧・糖尿病・高脂血症・心不全


つじもと内科・循環器内科

アルコールと健康

忘れてしまいたいことや♫ どうしようもない寂しさに 包まれた時に男は♫ 酒を飲むのでしょう♫ 
 皆さんご存じの河島英五さんの名曲です、確かにこの世の中つらいことばかりで酒でも飲まないとやっていけないというのも理解します。しかし酒のために体を壊したり、飲みすぎて家族に心配をかけるような飲み方は考えものです。やはり皆さんの日常生活に支障をきたさないようにお酒と上手に付き合う必要があります。酒は百薬の長などといいますが過度の飲酒はアルコール肝炎や肝硬変などの肝疾患、その他大腸がんや食道がんなどの悪性疾患と関連があることが指摘されています。また高血圧も飲酒の影響を受けるとされています。当院の患者さんでどうも血圧のコントロールが悪いのでよく聞いてみると飲酒量が多いことがたまにあります。
 一口にお酒を飲みすぎといいますが大体どの程度の飲酒が健康に影響するかご存じですか。健康日本21において飲酒に関する目標として一日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上のものの割合の減少が挙げられていますので、これくらいの量を毎日摂取する方はお酒の量を控える必要があります。純アルコールというとイメージがつかめないと思いますので例を挙げます。2ドリンク(純アルコール20g)はビール500ml(ロング缶1本)、日本酒1合、ワイングラス2杯、ウイスキーダブル水割り1杯に相当します。(私など最近ではビール350mlがやっとです。)ですから健康21で言う男性の過度の飲酒は純アルコール40gで日本酒2合、ビールロング缶2本に相当します。これ以上お酒を飲んでおられる方は今後、ご自身の健康のため飲酒量を減らすよう努力される必要があります。また職場の健康診断で肝臓の検査異常を指摘されたとき、多量飲酒の心当たりのある方は産業医やかかりつけの先生にご相談ください。健康診断は飲酒と健康の関係を再検討する良い機会です。
 当院ではお酒を飲みすぎておられると思われる方には簡単な質問票でスクリーニング検査をして、点数の高い方にはアルコールの健康への影響などの情報提供を行い、少しでも飲酒量を減らすよう説得に努めています。ただお酒が唯一の楽しみだと言われる方もあり、あまり厳しく指導してしまうと外来に来られなくなるため注意が必要です。飲酒が原因で肝障害など健康障害を生じている場合は禁酒がベストの方法と考えられます。ただ最近ではハームリダクションと言う考え方があります。ハームリダクションとは危険をすこしでも減らすということです。実際に最近の知見では完全に禁酒できない場合でも、少しでも飲酒量を減らせば健康に良い影響を与えるとされています。
 最後にアルコール依存症について述べます。先程述べました多量のアルコールを摂取する方の中に一定の割合でアルコール依存症の方がおられるとされています。このような方は早期に診断し治療を行う必要があります。アルコール依存症とは長期に大量の飲酒を繰り返した結果、以前は大きな価値を持っていた行動(仕事、家庭、趣味)よりも飲酒を優先させてしまう状態をいいます。言い換えれば飲酒と社会生活とのバランスが破綻した状態ともいえます。アルコール依存症の飲酒行動の例を挙げてみます。最近飲酒量が増えて少しの酒で酔えなくなった。多量に飲酒して翌日、飲酒したときの記憶がない。たまの休日も二日酔いで寝ているか、一日中酒を飲んで過ごしてしまう。お酒を飲んだときに、けがをしてしまった。飲みすぎで家族が心配している。以上の項目で複数心当たりのある方はアルコール依存症の可能性もありますので是非相談してください。

カテゴリー:お知らせ   |   2022年11月24日

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