医療安全について-その2-
以前、院長のひとり言でも取り上げましたが、某市民病院で放射線検査の際に小児に対し
過量の放射性製剤が投与されていたことを皆さん覚えておられるでしょうか。
実際に投与量を決定していたとされる、放射線技師の方の責任を問う声が報道などで多かった
のは事実です。先日、この放射線技師の方が、ご自身で命を絶たれたというニュースをみて大変ショック
を受けました。私も小児に対する過量投与はけしからんという、当時の社会の気持ちを共有したものとして
痛切な思いを禁じることができません。一般的に社会は、このような事件が起きると決まって犯人探し
に終始しがちです。ただ犯人探しよりもっと重要なことは、なぜこのようなことが起こったのか、また
再発を予防するためには、どのようにすればよいのかという冷静な議論だと思います。大きな事故
というものは決して個人だけのミスで起こるものではありません。個人の方向性の過ちを、何故事前に
チェック出来なかったのか、病院としての組織としてのあり方を含め充分な検討が必要と考え
られます。今回のことでこの件の原因究明が困難となったことを、大変残念に思います。
また亡くなられた、放射線技師の方につきましては、ご冥福を心よりお祈りいたします。
カテゴリー:院長のひとりごと | 2012年4月27日