心臓がよく動いている心不全
心不全には心臓超音波などで心臓の動きが悪いものと、心臓の動きが障害
されていない心不全があります。後者を拡張性心不全といいご高齢の方に
よく見られる心不全であり、外来で年配の方で足に浮腫みのある方には
この病気を疑います。心不全の治療については心臓の動きの悪い心不全
についてはβ遮断剤という薬が有効であることが知られています。ただ拡張性
心不全についてはガイドラインでもはっきりとした治療方針が確定されていない
のが現状です。またこの心不全は女性に多く、高血圧と関係が深いとされています。
従来の欧米での大規模試験の結果を見れば、心臓を保護する作用を持つ、
アンギオテンシン転換酵素阻害剤(ACE)、アンギオテンシン受容体阻害剤(ARB)の投与を
受けた群は、投与されなかった群に比べて観察期間の途中までは死亡率が
低下している傾向が見られます。これらの事実より上記薬剤は投与患者の
経過途中までは、良い効果をもたらしていると推定されます。以上のことより
最近、日本でも拡張性心不全にACE,ARBが有効ではないかと、考えられてきており
当院においても同様の理由で、拡張性心不全の方にこれらの薬を用いています。
カテゴリー:高血圧と心不全 | 2012年10月7日