神戸市東灘区(甲南山手) 内科・循環器内科 高血圧・糖尿病・高脂血症・心不全


つじもと内科・循環器内科

循環器内科

現在日本人の死因の第1位はがんなどの悪性新生物ですが、2位と3位は心疾患と脳血管疾患であり、心臓、脳血管疾患は現代人の日常生活に影響を与える非常に重要な問題となっております。
循環器内科ではこのような疾患の診断、治療、予防を行います。

 


狭心症、心筋梗塞

狭心症では高血圧、脂質代謝異常(高脂血症)、糖尿病などの動脈硬化性疾患を基礎として心臓の栄養血管(冠状動脈)が狭くなり運動時に前胸部の不快感をきたし、安静で症状が改善します。典型的な狭心症は運動により症状がでるため、労作性狭心症といいます。
その他、日本人に多いタイプの狭心症として、朝に冠状動脈が痙攣して起こる狭心症があり、異型狭心症と呼ばれています。狭心症はその不快の症状から患者さんの生活の質を低下させ、放置すれば冠状動脈が閉塞し心臓の筋肉が壊死する心筋梗塞や心不全の原因となることがあります。
診断にはまず詳細な問診を行い、心電図検査や必要な場合には24時間持続心電図(ホルター心電図)を施行し診断をつけます。治療としてはまず禁煙などの生活指導を行い、亜硝酸剤という血管拡張剤を投与し、さらに上記の動脈硬化性疾患の治療を行います。前述しました冠状動脈の痙攣をきたす異型狭心症にはカルシウム拮抗剤という薬が特効薬となります。心臓カテーテルなどの精査が必要な場合にはご希望の施設に紹介いたします。
狭心症の治療として、狭くなった冠状動脈を拡張させ、また治療で拡張させた冠状動脈がまた狭くならないように、網の目状の金属(ステント)を挿入するカテーテル治療(PCI)があります。内服療法のみで狭心症の症状が治まらないときは、専門病院に紹介し、冠状動脈造影など精査をお願いし、PCIの適応の有無を決定していただきます。

心筋梗塞は冠状動脈内に動脈硬化により生じたプラークが、ストレスや高血圧などを契機に破綻するために冠状動脈が閉塞し、心筋が壊死する病気です。心筋梗塞は急性期には不整脈や心不全などで生命に危険が及ぶことがあります。
また仮に心筋梗塞の急性期を切り抜けても、壊死した心筋の範囲が広ければ、心機能の低下により以後の日常生活が制限されます。
このため心筋梗塞の治療はどれだけ早い時期に、PCIを行えるかがポイントとなっています。このため心筋梗塞と診断したときは、ただちに近隣のPCIを施行できる病院に搬送を依頼します。


心不全

心不全は最近ではリウマチ性心疾患による弁膜症によるものは稀で、ほとんどが高血圧や冠状動脈疾患などが原因となっています。社会の高齢化とともに最近多くなっているのは、ご高齢の方の心不全です。一般的な心不全は心臓の収縮する力が低下することにより起こりますが、高齢者の心不全は心臓が硬くなり、心臓の拡張能(拡がる能力)が低下することにより起こるとされております。
症状は運動したときの息切れや、夕方の足のむくみが典型的です。この病気は放置すればその不快な症状により生活の質が低下し、生命予後に悪影響をきたす可能性があります。
治療としては血管拡張剤や利尿剤による心臓の負担の軽減が重要となります。これらの薬剤療法を、積極的に行うことにより患者さんの予後や、心不全悪化による入院の回数を減らすとされております。
当院では日本循環器学会の心不全治療ガイドラインに準拠し、循環器専門医としての知識や経験を駆使して、患者さん個々の病状に即した治療を心がけます。
心不全において心臓の機能は、心不全が悪化して入院を繰り返せば入院の度に悪化するとされています。そのため普段から診察の度に体重を測り、心不全の悪化の兆候を早期に発見することが重要です。
また日頃からの生活習慣の指導も大切です。心不全は生活習慣の乱れによる、水分や塩分の取りすぎで悪化することがあります。重症の方には一日の水分の摂取量を制限するなど、細かな注意が必要です。
心不全では心臓の動きのよい心不全と、動きの悪い心不全では薬剤の選択が異なるため、心臓超音波で心臓の動きを評価し、治療方針を決定しています。

心房細動

心房細動は高血圧や心不全などの基礎疾患や加齢などにより起こる不整脈。心房細動はいったん起こってしまうと、不整脈のないとき時に比べ、心機能が20%程度低下するとされており、心不全の悪化や運動能の低下をきたすことがあります。また脈拍が著明に増加しさらに心不全を悪化させることがあります。
心房細動の治療の基本は、β遮断剤により脈拍を適切にコントロールすることです。また心房細動を発症して間もない場合には、カテーテルにより病気の原因となっている部位を焼灼することで、不整脈が治癒することがあり、症例によっては不整脈カテーテル治療の専門医に紹介することがあります。
さらにもっと重要なことは、心房細動で心房内に発生した血栓(血の塊り)が血流に乗って、脳の血管を閉塞し脳梗塞をきたすことです。この脳梗塞は心原性脳梗塞といって予後が悪く、いったん発症すると要介護の状態となってしまうことがあるため注意が必要です。
このためある一定のリスクを持つ人、例えば高血圧、糖尿病、心不全などの基礎疾患を有する方には抗血小板剤(DOAC)を積極的に投与しています。

弁膜症

我が国の衛生状態が著明に改善されたため、リウマチ性心疾患による心疾患はほとんど見られなくなっています。一昔前までは僧帽弁の逆流の原因はリウマチ性心疾患によるものでしたが、この頃は心不全で心臓が拡大するための逆流が多くの割合を占めるようになりました。
現在の僧帽弁逆流症は、昔のように悪くなった弁膜を手術で置き換えれば済むというものではなく、弁膜逆流が発見された時点で、すでに心臓の機能が低下しているため弁膜の治療だけでなく、基礎にある心不全の治療が必要であり、以前より難しい対応を求められることが多くなりました。
最近の高齢社会では大動脈弁の変性により、心臓から血液が大動脈に駆出することが阻害される、大動脈弁狭窄症を診ることが多くなりました。この病気は運動時のめまいや、胸痛などを起こすことがありますが、一旦症状が起こるようになると、急激に悪化することがあり注意が必要です。大動脈弁狭窄症は心臓の聴診と、頸動脈の触診である程度見当をつけられるため、聴診するときにはいつもこの疾患に注意するようにしています。

心エコー

BNPという血液検査で、心不全があるかどうかの診断はかなり容易になっています。ただ心不全の原因を調べたり、治療法を考えるとき、心エコーは欠かせません。心エコーで心臓の動きを観察しドップラーで弁の逆流を評価することができます。一口に心不全と言っても、心臓の動きの良い心不全と、動きの悪い心不全では治療法が異なります。
また心臓の弁膜の異常(弁膜症)で心不全が起こることがありますが、心エコーでは弁膜症があるかどうかの存在診断だけでなく、どの程度悪いかも評価することができ、外科手術の適応の
決定や経過観察に有効です。とりあえず検査時間として30分程度いただければ、現在の心臓の状態について一通り評価は可能です。ただし、ある程度まとまった時間が必要なため、外来診察をしながらの検査は難しく、患者さんには予約をお願いしています。

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