神戸市東灘区(甲南山手) 内科・循環器内科 高血圧・糖尿病・高脂血症・心不全


つじもと内科・循環器内科

糖尿病に夢の薬

突然ですが糖尿病に夢の薬があることをご存じですか。この薬は最近製薬会社から続々と発売されている高価な薬とは違います。まず無料ですしかも副作用がありません、その上に薬を飲む必要もありません。その夢の薬とは、運動です。日本糖尿病学会のステートメントによりますと、運動は血糖コントロールを改善し、血圧を低下させコレステロールなどの脂質を低下させる効果があるとされています。さらに運動をすることにより癌になりにくくなり、狭心症や脳梗塞などの心臓や脳の血管の病気にかかりにくくなるというデータもあります。まさに一石二鳥です

運動は具体的には週2回程度、1回30分程度の散歩などの有酸素運動がお勧めです。運動のしかたに決まりはありません、ぶらぶらと犬の散歩やウインドウショッピングでも結構です。まとまって30分時間が取れないときは、1日のうち何回かに運動を分割しても同様の効果があるとされています。このような話をしますと頑張りすぎる方もおられますので、一応申し上げますが、くれぐれの無理をしないで気長に続けましょう。体調が悪い時や雨が降っているときは、どうぞ休んでください、残念ながら運動の効果は数週間程度では表れません。要は少しずつ持続することが大切です。
以上、定期的な有酸素運動(散歩など)は糖尿病に効果があることがお分かりいただけたと思います。しかしたとえ週2回30分の散歩でも、する時間がないあるいは、する気がないとおっしゃる方が多いのも現実で、このような方にどのように指導すれば良いのか今まで悩みの種でした。  ここで先日、糖尿病の専門の先生からお聞きしました、とっておきのお話をしましょう。糖尿病の予防や進行を防ぐのに週150分以上の運動が目安になるとされていますが、どうやらアメリカでもこのような運動の指導がうまくいっていないようです。軽い有酸素運動でもやってくれない人が多いのでしょうか、ついに学会も開き直ったようです。とうとう米国糖尿病学会が「座っているのではなく、立っていなさい」というステートメントを出したということです。即ちずっと一日中座っている、あるいは寝ていることは糖尿病の病状に悪影響を与えるため、少しでも立っている時間を長くすることが望まれるということです。このお話を聞き、当院の患者さんには、座ったままの時間をなるべく少なくして下さい、30分座ったら5分間は立っている、あるいは家の中を移動してくださいと指導したところ、その程度のことならと受け入れていただける方が多くなりました。立っているだけなら楽ですね。
以上、糖尿病の予防や進行の防止に運動が有効であるという話をしました。ただし糖尿病のコントロールが悪い人や血圧が180mmHg以上の方は禁忌のため、運動を始められるときは必ず、かかりつけの先生にご相談ください。

カテゴリー:院長のひとりごと   |   2017年2月27日

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