神戸市東灘区(甲南山手) 内科・循環器内科 高血圧・糖尿病・高脂血症・心不全


つじもと内科・循環器内科

最近の糖尿病治療について 

当院で糖尿病治療を受けておられる方はたくさんおられますので、最新の糖尿病治療についてお話させていただきます。
 ほとんどの成人の糖尿病すなわち2型糖尿病は、体内で血糖を下げる働きのある、インスリンというホルモンが出にくい、あるいはインスリンに対する反応が低下するなどの遺伝的素因に、ストレスや過食などの後天的な因子が加わり発症するとされています。そのため糖尿病の治療には運動、食事療法、薬物療法の3本柱が重要なことは今も昔も変わりません。
 今から20年以上前は、糖尿病の薬といえばスルホニル尿素剤(SU剤)ぐらいしかありませんでしたので、血糖が高いときには多量のSU剤を使っていました。ただこのような使い方では、重症の低血糖が起こることが多く、最近は高容量のSU剤は使わなくなりました。現在でもSU剤を用いますが、代表的なSU剤であるアマリールでも3mg以上の用量を処方することは稀となっています。またSU剤の働きは一言でいえば、膵臓に命令して、血糖を下げるインスリンというホルモンを無理やり出させることであり、この薬にばかり頼っていては、膵臓からインスリンを出す能力が枯渇してしまう可能性があるため注意が必要です。
SU剤に代わり低血糖の副作用が少ないことから、DPP4阻害剤が多用されています(ジャヌビア、ネシーナ、エクアなど)。これらの薬は血糖の上昇に伴って、インスリンを分泌させる作用があり、高齢の方にも使い易い薬で当院での糖尿病治療薬のかなりの部分を占めています。
SU剤は膵臓から強制的にインスリンを出させる薬と説明しましたが、ナテグリニド(ファスティック、グルファストなど)が食事の際に、インスリンを効率的に分泌させ、食後血糖を改善させる効果があります。例えて言えばSU剤が膵臓にインスリンを出すように常に背中を押す薬であるのに反し、ナテグリニドは食事の時だけ「トン」と背中を押してインスリンを出すようにさせる薬で膵臓にあまり負担をかけない薬といえます。
 続いて食事療法については、従来のカロリー制限を重視した指導より、糖質制限が最近のトレンドのように感じます。専門家の意見では、肥満のない糖尿病患者において過度のカロリー制限は推奨されないとのことです。確かに何でもかんでもカロリー制限、我慢、我慢では気分がブルーになりますね。当院でも糖尿病患者には糖質制限を中心にした食事指導をしています。まず甘いおやつは減らしましょう、どうしても食べたければヨーグルトは腹持ちがいいのでお勧めです。食事のご飯を少し減らしましよう、ご飯を減らせばお腹も減るので、その場合は肉、魚などの蛋白質や野菜で空腹を満たすようにしましょう。血糖を急激に上昇させるため、液状の糖分(ジュースなど)は避けること。食事のときは肉、魚、野菜などおかずを先に食べ、ご飯などの炭水化物は最後にすると、食後の血糖上昇が穏やかとなります。運動療法では散歩などの有酸素運動に筋トレを併用すると効果が増すと言われています。当院でも、患者さんに週2回、30分程度の軽い散歩に加え、20回/日程度のスクワットをお勧めしています。
 以上、最近の糖尿病治療についてまとめさせていただきました。

カテゴリー:お知らせ   |   2017年9月28日

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