その発熱本当に大丈夫ですか?
在宅の方や施設入居の方で、熱が出たと相談受けることがよくあります。
ただ大抵の場合は、発熱は風邪などのウイルス疾患によることが多く、
電話で血圧、脈拍などのバイタルサインを聞いて、経過観察の指示で済ます
ことがほとんどです。ただ肺炎、尿路感染症や胆道などの重症の感染症で
感染した臓器から細菌が血液中に入り、脳、肺、腎臓など多臓器の障害をきたした状態を敗血症と言いますが、
これは絶対に見逃してはいけません。敗血症は治療が遅れると、治療に時間を
要したり、命に危険が及ぶことがあるからです。ここで介護をされる方でもある程度
敗血症が起こっていることを疑うポイントを説明します。
1、血圧が100mmHg以下であること
2.呼吸が1分間に22回以上であること
3.意識障害のあること
急に発熱をきたしたとき、とっさの判断に血液検査などの検査はあてになりません。
重篤な感染が起こっても検査所見が全く正常のことがあります。このようなとき一番
役に立つのが血圧、呼吸数、意識状態などのバイタルサインというものです。
これからこの3つの所見の見方をそれぞれ説明します。
1.最近では自宅に血圧計を備えておられる方も多いと思います。血圧100mmHg以下なら要注意です。
2.呼吸数ですが、日本救急医学会の敗血症のガイドラインでも測定を推奨されています。私も
重症の患者さんを診るときは必ず呼吸数を測定するようにしています。
ご家族が測定されるとき呼吸数はいちいち数える必要はありません、患者さんに合わせてご自分で呼吸してみて下さい
自分の呼吸と比べて速い、苦しそうにしていると思えば、呼吸は速いと考えて間違いありません。
3.意識も難しく考えず、いつものお父さん、お母さんと少し違うと思えば、意識障害を疑う必要があります。
意識障害と言えば昏睡のように目を閉じて眠り込んでいるような状態を想像されると思いますが、もっと軽い状態も要注意です。
例えばいつもより話しかけたときの反応が鈍い、少し話がとりとめがない、普段より気分が高揚しているなどの
所見があれば、意識の異常を疑うようにしてください。このような場合、普段患者さんと接している、介護者の方の感性が大事です。
上記の3つのポイントのうち、2つ以上あてはまれば、敗血症を疑う必要があるとされています。敗血症とは細菌(バイ菌)
の感染で体の中の臓器が障害されている(臓器障害)ことを示し、早急に治療を行わなければいけません。
敗血症の治療には、数時間以内の抗生剤投与や点滴など、緊急の処置が必要です。また集中管理といって
時間ごとに患者さんの状態を評価して病状の変化に対応する必要があり、具体的には入院が必要となります。
上記のような異常があるときには、ただちに担当医にご連絡下さい。
カテゴリー:お知らせ | 2019年8月14日