氾濫するネット情報との付き合い方
最近はネットにいろいろな医療に関する情報があふれています。このご時世ですから
私のような旧い医者でもネット情報は大いに活用しています。確かにネットの検索は
膨大な情報の中から知りたい情報を調べるというシステムですから、医療情報の検索の上位にある情報については、ある程度信用できるものという印象を持っています。情報のなかには少し不確かなもの、眉つば的なものから、本当に質のいい情報まで
ピンからキリまでありますが。それらを一気に検索した場合には、検索の上位にはそれなりに的を得ている情報があることは確かです。ただこれらの検索はあくまでも、たくさんの情報のなかから知りたい情報の可能性を調べたことに過ぎず、得られた医療情報を患者さんが使うには少し注意が必要です。
患者さんがネットを調べて、自分の症状が病気の症状に一致すると
不安になって医院を受診されることがあります。ただお話をうかがってみますと、患者さんの取り越し苦労であったこともよくあります。一般的に専門外の方には、得られた情報に重み付けをして、必要な情報を絞り込むことが難しく、情報が多すぎることにより、不必要な情報即ちノイズを拾ってしまい、本当に知りたいことが不明になることがあるようです。それに比べ
我々専門家は、得られた情報と病歴、診察所見から最も可能性の強い病気の可能性を疑い、重要性の低い、雑多な情報を切り捨てることができます。さらに情報が、自分の経験に照らして腑に落ちない場合には、得られた情報を鵜呑みにしません。
発達したネット社会において患者さんは驚くほど多くの医療情報に触れることができます。日々の診療において患者さんから、いろいろな情報につき気付かせていただくことは歓迎します。ただネットの情報の海に溺れてしまわないようくれぐれもご注意ください。ネットの情報で不安になったら、相談する相手は決してあなたのお友達ではありません。そんなときは是非専門家、我々医者に相談して下さい。こんな事を言うと少し面映ゆいですが、ネットや本に載っていないことを知っているのが専門家です。患者さんの心配事の相談に乗り、安心していただくことは医師の大切な仕事と考えております。心配なときは、是非我々医師の知識を活用して下さい。
カテゴリー:お知らせ | 2019年8月15日