医療安全について思うこと-子どもに対する放射性物質過量投与の報道から-
皆さんもいろいろな報道がなされているのでご存知のことと思いますが、甲府市立病院で腎臓の検査のため多くの子どもに、基準を超える放射性物質が投与されていたことが大きな問題となっています。ここで問題となっているのは、大きく分けて2つのことがらです。第一に検査の際の放射性物質の投与量が、放射線技師の判断で決められていたこと。第二に基準を超える放射性物質の投与を受ける、子どもの健康に対する配慮がなされていなかったことです。同様のことが当院に起こらないように、現在当院で行っている医療安全対策について述べてみたいと思います。
第一の問題ですが、放射性物質の投与量が事実上、一人の放射線技師の判断で決められており組織としてのチェックがなされていなかったことです。個人だけの判断というのは、得てして独りよがりに陥ることがあり、時として大きな事故につながることがあります。この対策として当院では組織での風通しをよくして、スタッフが院長に対して気軽に意見具申できる雰囲気つくりを心がけています。具体的な医療ミス対策として、点滴や検査オーダーについては、必ず看護師とダブルチェックを行い、点滴投与ミスや検査オーダーの間違いを防ぐよう努めています。
第二の問題は医療関係者としてのモラルの問題です。忙しくなるとつい目の前の業務を処理することに集中してしまい、患者さんに対する配慮がおろそかになってしまう危険性があります。このような時には、研修医時代に指導医からのアドバイスを常に思い出すようにしています。即ち、いろいろな医療行為を行うとき、自分ならどう思うのか、相手の身になって考える、そうすれば間違いが少ない。医療行為の対象が自分であったら、あるいは、自分の家族であったらどうするのかと、常に考えることで前述のような問題は避けることができたのではないかと思います。
カテゴリー:院長のひとりごと | 2011年9月6日