神戸市東灘区(甲南山手) 内科・循環器内科 高血圧・糖尿病・高脂血症・心不全


つじもと内科・循環器内科

バーチャルと現場の雰囲気―遠隔診療は普及するのかー

まだまだ注意は必要かと思いますが、現時点で兵庫県における新型コロナウイルス感染症の流行は消退しつつあります。これからは前月にも述べましたように、ソーシャルディスタンスなどの厚生労働省の提唱する新しい生活様式を取り入れ、日々の生活を送ることが必要となります。以前、新型コロナウイルス感染症の蔓延のため、兵庫県立美術館で開催されていたゴッホ展が途中で打ち切りとなり、大変残念な思いをしたことが思い出されます。流行の消退により兵庫県立美術館も6月2日より再開されています。先日、同美術館で開催されていましたコレクション展を訪れました。入口では検温がなされ、職員はフェイスシールドをするなど厳重な感染予防対策がなされていました。コレクション展とは県立美術館のおびただしい所蔵品より選んだ絵画、彫刻などを展示するものです。日本における名だたる巨匠の絵が一堂に展示されておりまさに圧巻です。しかも先日行ったときも観客が少なく、ある展示室では私と美術館職員だけでした。少し申し訳ない思いもしましたが、大変ぜいたくな時間を過ごしました。しかもコレクション展のみの入場料金は500円でありコスパは最高です。最近バーチャル技術が発達しており、高画質で絵画を鑑賞することができますが、やはり実物には勝てないものだと実感しました。手前味噌になりますが現在(6月末の時点で)母方の祖父の絵画「国土豊」が展示されています。祖父は池田永治と言い、戦前には少しは知られた画家だったとのことです。ただこのような芸術家の血統は当方には繋がっていないようですが。ここで強調しておきますが、美術館においでになりたいと思われる方は、感染予防のため混雑を避ける必要があり、県立美術館のホームページで情報を確認しておいでください。
 新型コロナウイルス感染の蔓延により一部では電話や情報通信機器を用いた遠隔診療の導入が声高に叫ばれておりますが、医師会としては遠隔診療の導入には反対の立場をとっております。私も拙速な遠隔診療の導入については消極的です。その理由として遠隔診療では患者の重要な情報が欠落してしまうことが挙げられます。例えば、患者さんを診察するとき、診察は患者さんが診察室に入るときから始まっています。患者の歩き方、顔色、話し方や患者の醸し出す雰囲気などから重症度を判断することができることがあります。英語で患者の状態を表す言葉にappeared acutely illと言う言葉があります。これを関西弁に直すと、「めっちゃしんどそう」と言うような感じでしょうか。このような患者を診たときは、頭の中で警戒警報が鳴りだし迅速な行動を促します。反面、遠隔診療などのバーチャルな場ではこれらの情報の取得が困難であり、患者の重症度を見誤ったりするような不都合なことが生じる可能性があります。古い医者の考えかもしれませんが、診察とは見て、聞いて、触って、聴いてなど五感を使って、(時には第六感まで使って)行うべきものだと思います。私の恩師が以前、診察に際していつも感覚研ぎ澄ませと言われていたことをなつかしく思い出します。今更ですが、やはりバーチャルはその場の雰囲気には勝てないのではと思います。

カテゴリー:お知らせ   |   2020年6月29日

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