神戸市東灘区(甲南山手) 内科・循環器内科 高血圧・糖尿病・高脂血症・心不全


つじもと内科・循環器内科

熱が出たんですけど、仕事にはいつから行っていいですか

当院でも発熱のため来院される方が時々あります。発熱患者を診察する際には、以前よりマスク、手袋、アイシールド、ガウンなどを着用して院内感染を防ぐよう万全を期しております。大抵の方はお薬を出して数日経過を観察すると元気になられますが、熱がなかなか引かない方もおられます。このような場合にいつから仕事に行って良いのかと聞かれることがよくあります。ただ昨今の新型コロナウイルス感染症の流行から、発熱した方の職場復帰には慎重になることが求められます。すなわちすべての発熱患者は新型コロナウイルス感染症の可能性を考えて対処することが必要です。仕事復帰の基準になる現在の一般的な考えとして、ヨーロッパCDCの基準を参考に以下のような基準が示されています。日本での学会の基準もこれに準拠しております。それによれば自然経過で解熱し症状が軽減した場合の職場復帰の目安として、次の①②両方の条件を満たすことを提示しています。
① 発症後に少なくとも8日※が経過している
② 薬剤※※を服用していない状態で、解熱後および症状※※※消失後に少なくとも3日※
が経過している
※「3日」「8日」は、それぞれ発症日、解熱日、症状消失日を0日として計算
※※解熱剤を含む症状を緩和させる薬剤
※※※咳、咽頭痛、息切れ、全身倦怠感、下痢など

ここでご注意いただきたいのは「3日」「8日」はそれぞれ発症日、解熱日、症状消失日の次の日から計算する点です。このように説明しますと、患者さんによっては8日も休んでいられませんとの反応がよくあります。確かに大きな会社では休むこともできるかもしれませんが、小さな会社では代わりの人員がなく休んでいる余裕はないことは十分理解できます。そのような場合でも、一応上記のような基準を示しご理解をいただくように努めております。ただどうしても8日休むことができないとしても解熱剤や症状を緩和させるお薬を使わない状態で症状消失後3日を経過することという基準は是非守っていただきたいと思います。現在のような新型コロナウイルス感染症に対する社会的不安が高まっている状況では、少なくとも解熱剤や症状を改善させる薬を使わずに、症状が完全に改善しない状態で職場に復帰することは絶対に避けていただきたいと思います。また自宅療養中に呼吸困難、著明な全身のだるさ、味覚、嗅覚の異常などの症状の悪化を認める場合は必ず医療機関に相談するよう指導してください。
 また会社の方にお願いしたいのは、発熱患者の職場復帰に際して、復帰証明書や治癒証明書を求めないようにしていただきたいということです。医療機関に受診していても、また仮にPCR検査を行って陰性であったとしても、新型コロナウイルス感染症の可能性を完全に否定できるわけではありません。職場の方には発熱をきたした方の職場復帰には上記のような基準を守りしっかりとした自宅療養を指示し、呼吸困難や著明な倦怠感などの症状があれば医療機関を受診するようご指導ください。もちろん8日も休めば体力の低下も予想されますので、休養明けに以前のように働けるかは個人によって違いがあります。このような場合、本人が就業可能かどうかの判断については、産業医にご相談いただくか、産業医のおられない職場では当院にご相談ください。
 最後に発熱で受診される方に是非お願いしたいことがあります。当院ではご高齢の方や糖尿病などの持病をお持ちの方が多く受診されております。発熱の方が受診された場合は、一般の患者さんと診察する場所を分け空間的分離を行い、院内感染が起こらないよう配慮しております。そのため発熱で受診される方は必ず事前に医院に問い合わせ、直接医院に入らないようお願いいたします。また院内が混雑している場合はお車などで一時待機をお願いすることがありますので、出来れば携帯電話をお持ちになってくお越しください。

カテゴリー:お知らせ   |   2020年8月31日

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