神戸市東灘区(甲南山手) 内科・循環器内科 高血圧・糖尿病・高脂血症・心不全


つじもと内科・循環器内科

コロナ後の世界を考える

新型コロナウイルス感染症は一時感染者が減少に向かうかと思われていました。しかしここに来て11月末の時点で、患者数が上昇に転じ政府としては緊急事態宣言の再発動の可能性も排除できないとのアナウンスがありコロナとの戦いはまだまだ長期にわたると予想されます。
 最近、岩波新書の「コロナ後の世界を生きるー私たちの提言」(村上陽一郎編)という本を読みいささか考えることがありましたのでご紹介いたします。以下の記述についてはこの本の記述を参考にしました。また11月28日、保険医協会のZoom講演会で神戸市立医療センター中央市民病院感染症科、黒田浩一先生のご講演を聞く機会がありましたので黒田先生のご意見も参考にさせていただきましたことを付け加えます。
 繰り返しになりますがこの時期になっても兵庫県の患者は増加しており、今後の見通しは不透明です。この原因として世の中の自粛ムードが長引き、皆に自粛疲れが出てきており感染に対する注意が薄れてきたことも挙げられると思います。また感染の発症場所も、流行当初のライブハウスや接待を伴う飲食業から家庭内感染にシフトしてきていると言われています。ちなみに前述の黒田先生のご講演では、家庭内感染は職場内感染より多い可能性があるとのことでした。また多人数での会食なども感染リスクになりますので、これから年末にかけて外食される場合にはなるべく少人数で、滞在時間を短くするようご注意ください。
 先ほどの「コロナ後の世界を生きるー私たちの提言」にマーガレット・アトウッドさんの印象的な文章がありましたので以下に引用します。-馬を駆って城に向かう一人の騎士。まさに到着というとき、城門の橋が上がり始め、白馬は柵を飛び越え見事な跳躍をする。-中略=今の私たちは間違いなくその白馬の騎士である。恐るべきコロナウイルスに追われ、堀の向こう岸に着地することを願う。-中略―堀を飛び越えた未来という城。その城内に今までどおり存在して欲しいものは何か。余すことなく考えてみよう。そして、望みの物を確実に未来に残すため今できることをしよう。―
 引用が長くなりましたが、私なりに未来に残すべきものを考えてみました。まず今回のコロナ流行で高まった手洗い、咳エチケットなどの衛生意識を皆で共有しよう。また感染予防の必須条件、よく食べ、よく笑い、よく眠ることを実践しよう。我々開業医よりもはるかに厳しい状況にある、病院などの医療従事者に敬意を払おう。誰もが医療制度を未来に残したいはずだ。お気に入りのレストランやカフェ、そういう楽しい場所が常にあり、気が向けばいつでも利用できる店がある、そういう店が堀を飛び越えられるように、テイクアウトを注文したりして支援しよう。何よりも皆が日々の生活を楽しむ姿勢は、来るべき未来もなくならないように願う。ただ、そのやり方を少し変えればいいだけです。楽しんでいいと思います。ただし、これまでよりそっと、静かに楽しんでください。

カテゴリー:お知らせ   |   2020年11月29日

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