神戸市東灘区(甲南山手) 内科・循環器内科 高血圧・糖尿病・高脂血症・心不全


つじもと内科・循環器内科

眠れないとき ー睡眠薬に頼る前にするべきことー

当院にも充分と眠れないとの訴えでお出でになる患者さんが多くおられます。患者さんの中にはすぐに眠りたいと睡眠薬の処方を希望される方がおられます。しかしながら、最近では従来まで睡眠薬として汎用されてきたベンゾジアゼピン系睡眠薬の弊害が日本でも問題視されるようになりました。即ちこの種の薬剤には一度投与を開始すると止められなくなるという依存性があり、また高齢の方には持ち越し効果といい、投与翌日に眠気が残存したり、ふらつきにより転倒のリスクが増すなどの悪影響があります。また認知機能に悪影響を与えることも知られております。このような理由で、現在においては一般的に、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の安易な投与は、厳にいましめるべきとされています。そのため睡眠が充分とれないという方は、まず後述する睡眠衛生という睡眠の環境を整える方法を充分に行い、それでも眠れない場合に薬物療法を考慮するというのが現在の考え方です。睡眠衛生と言うと患者さんの中にはそんなものに効果があるのかとおっしゃる方もおられますが、薬に頼れば薬の副作用も心配しないといけませんので、眠れない方まずは最初に以下の方法をお試しください。

1. 睡眠時間は個人差がある
必要な睡眠は個人差があります。長ければ良いというものではありません。年とともに生理的に睡眠時間も短くなっていきます。長く眠れなくても日中の眠気がなければ良いと割り切ることも必要です。

2.刺激物を避け、眠る前に自分なりのリラックス法を
寝る前にリラックスできれば、スムースに覚醒から睡眠に移行することができます。音楽を聴く、ぬるめの入浴なども有効です。カフェインは覚醒作用を持つため、出来れば夜の7時以降はお茶やコーヒーは避けるべきです。タバコも睡眠を妨げるとされています。

3.眠くなってから床に就く
習慣的入眠時刻の2~4時間前の時間帯は1日の中で最も寝付きにくいことが分かっており、不眠の解消のため早く床についても早く入眠することは難しいとされています。就眠時刻はあくまでも目安であり、その日の眠気に応じ、眠くなってから床に入るようにしてください。

4.太陽光を利用する
人には体内時計というものがあり。朝太陽光を浴びると体内時計がリセットされ、夜に周囲が暗くなると自然に眠気を覚えるようになります。起床後2時間以上、暗い室内にいると体内時計がリセットされないとされます。そのため体内時計のリズムをきちんとリセットするため、起床後なるべく早く太陽光を浴びるようにしてください。

5.パソコンやスマホのブルーライトに注意
パソコンやスマホの画面から発生されるブルーライトは濃いコーヒーを飲んだのと同じくらいの覚醒効果があり睡眠障害の原因となります。少なくとも就寝する2時間前からはパソコンやスマホの画面を見ないように努めてください。。

6. 睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと
睡眠薬代わりにアルコールを使用すると、確かに寝付きは良くなりますが睡眠中の中途覚醒が多くなり睡眠の質が低下します。また連用すると慣れが生じ、同じ量では寝付けないため使用量が増加します。アルコールは睡眠薬代わりにはなりません。

7.睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止や足のぴくつき・むずむず感は要注意
睡眠と関連して起こる身体の病気により、夜間の不眠、それにより引き起こされる日中の眠気が起こることがあります。こうした疾患の場合は睡眠障害の専門的治療が必要です。睡眠時無呼吸症候群は、激しいイビキと睡眠中の頻回の呼吸停止、呼吸再開に伴う覚醒を繰り返す病気です。この病気は中年以降の男性に多く夜間の不眠やこれによる日中の過剰な眠気を引き起こします。またレストレスレッグス症候群は夜入眠してから数時間にわたって、じっとしていると足がむずむずしたり、ほてったりして、その不快な感覚のためなかなか寝付けないという病気です。このような症状があれば専門医への受診が必要です。

カテゴリー:お知らせ   |   2021年3月21日

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