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高齢になっても元気に自分らしく暮らすために-運動の大切さ-

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。今回は運動とフレイル予防についてお話したいと思います。フレイルとは加齢や慢性疾患の積み重なりにより、生活自立が損なわれやすい状態を指します。最近では要介護の原因として脳血管障害に代わりフレイルが大きな割合を占めるようになりました。
先月のおさらいですがフレイル予防の3本柱として①栄養、②運動、③つながり/社会参加の3つが大切であるとされています、前回は栄養について述べましたので今回は運動について述べてみたいと思います。
 米国のスポーツ医学会は「運動は薬である」(Exercise is Medicine)という言葉を提唱しています。運動は高齢者にとって有益です。身体的に活動的な高齢者は、座りがちな高齢者よりも全体的な健康状態が良好であり、必要とする医療費を節約することができ、日常生活での移動制限が少ないとされています。またウオーキングをすることにより、幸せホルモンと言われるセロトニンが多く分泌され、精神の安定に役立つためうつ状態などの改善効果があるとされています。またセロトニンはメラトニンという夜間の睡眠に役立つホルモンの前駆物質であり、日中に運動でセロトニンをたくさん出すことは夜間の不眠予防に役立ちます。このように運動の効用は明らかであり我々臨床医はすべての患者に対し「運動という薬」を処方する必要があると考えられます。そのうえこの薬は基本的に無料です。
 以上で運動が健康維持やフレイル予防に役立つことがお分かりいただけたと思います。ではどの程度の運動をどれくらいの頻度で行うかということをお話したいと思います。まず現在狭心症などの心疾患やコントロール不良の糖尿病や高血圧などの持病をお持ちの方はまずかかりつけの先生にご相談いただき、運動の開始前に十分なチェックを受けてください。またすでに運動習慣をお持ちでランニングやエアロビクスなどの強い運動を行っておられる方は、ご自分のペースで現在の運動を続けてください。ここでは65歳以上で現在まであまり運動習慣のない方へのアドバイスをさせていただきたいと思います。このような方ではウオーキングをお勧めします。ウオーキングの運動強度としては歩いていて少し息がはずむ程度、米国の文献では歌うことができない程度と書いてありますが、まさか皆さんウオーキング中に歌うことはないと思いますので、一緒に歩いている人と話ができる程度の強度で行ってください。持続時間は20分のウオーキングを毎日、もしくは30分のウオーキングを週5回、これに加えてできれば腕立て伏せやスクワット(膝の屈伸)などの筋トレを1回10~15回、1日3回程度行ってください。ウオーキングは必ずしも連続して行う必要はありません。ウオーキングの代わりに自宅で階段昇降やゴミ出しなどでも結構です。運動、ウオーキングと言っても必ずしもスポーツジムに通う必要はありません。独りで気軽に持続できる運動を選ぶことが長続きのこつです。
 皆さんも無理のない運動習慣を身に着けてフレイルを予防しましょう。何かご質問があれば診察の時に遠慮なくお聞きください。

カテゴリー:お知らせ   |   2023年1月3日

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