心の張りでフレイル予防(動画) -フレイルドミノにご注意-
フレイルとは体の脆弱性というような意味で、加齢による体の予備力低下でストレスへの抵抗力が低下することを指します。最近では要支援1,2のような軽度の方が要介護となる原因としてフレイルの占める割合が高くなっています。フレイルの予防として栄養、運動、社会とのつながりが挙げられます。栄養、運動の重要性についてはすでに当院のホームページで述べましたのでそちらをご参照ください。今回はフレイルの予防と社会とのつながりについて述べたいと思います。
社会とのつながり、おつきあいがフレイルと関係するとはなかなかイメージしにくいとは思います。フレイルの原因として体の栄養低下による筋肉量の低下を表すサルコペニアという言葉があります。ここで先程の運動、栄養(食事、口腔の状態)、社会参加(人付き合い)の3つの要素を考えると、ある統計によれば当然予想されることとして運動、栄養、社会参加の3要素がうまくいっていない人は最もサルコペニアになるリスクが一番高いとされています。しかしともに運動はしていないが、栄養のみはうまくいっている人と、運動はしないが社会参加のみ行っている人のサルコペニアのリスクは同程度とされており、サルコペニア予防のための社会参加が重要であることが示唆されています。
何故人付き合いをしない、社会的孤立フレイルになるかを説明するための例えにフレイルドミノという言葉があります。これはまず最初に社会とのつながりがなくなれば、生活範囲が狭くなり、そのため心の張りを失い、その結果食欲がわかず、栄養が低下して最終的に体が衰えフレイルになるというような、まさにドミノ倒しのような現象を指しています。
社会的孤立予防のためにはボランティアや趣味のサークルに参加するなど、本人の好みに応じた社会参加が考えられます。ただ難しく考える必要はありません。一日1回は必ず外出しましょう。買い物でも散歩でもなんでも結構です。散歩で近所の方に会って挨拶したり、買い物に行って店員さんと話しをすれば、それも立派な社会参加です。また当地域にもいろいろな楽しい催しがあります。ホームページで身近なお出かけスポットをご紹介しておりますので機会があれば是非おでかけください。
最近、医院で今日は一日誰と話していないという患者さんが、当院受付職員や看護師と楽しそうにお話されているのを見ることがあります。このような場面を見るにつけ、医院は患者さんの病気だけを診ているだけではいけないのではと思います。昔先輩の先生に外来で患者さんと世間話ができたら、一人前だと言われたことを思い出します。今後は患者と医師が健康という目的を共有し、患者さんに社会とのつながりの場を提供するということも医院の重要な役割ではないかと強く思います。
カテゴリー:お知らせ | 2023年2月28日