神戸市東灘区(甲南山手) 内科・循環器内科 高血圧・糖尿病・高脂血症・心不全


つじもと内科・循環器内科

日常生活の満足度を高めるために必要なこと

健康的な生活を送るために、生活習慣の改善が必要ということはよく知られていることです。例えばある報告では、以下の8項目の健康的な生活習慣:日常的な果物の摂取、日常的な生鮮・魚介の摂取、日常的な乳製品の摂取、習慣的な運動や歩行、適正体重の維持、適量の飲酒、非喫煙と禁煙、適正な睡眠。上記8項目のうち6項目以上を改善することにより、男女ともに年齢にかかわらず80歳以上でも寿命の延伸効果があるとされています。また生活習慣病を複数持っている患者では、このベネフィットは特に大きいことも示されています。(大阪大学医学系研究科公衆学教室 国立国政医療研究センターグローバルヘルス政策研究センター JACC研究 Impact of modifiable healthy lifestyle adoption on lifetime gain from middle to older age)以上のことからご高齢の方で複数の生活習慣病をお持ちの方も、明日から生活習慣の改善に取り組むことを強くお勧めいたします。

 次にこの生活習慣と日常生活の満足度の関係について述べさせていただきます。皆様の中には生活習慣の改善が寿命を延伸することは分かった、しかし生活習慣の改善が人生を健康に楽しく生きることにつながるのかという疑問を持たれる方もあると思います。この点については主観的健康感(自身が健康であるという感覚)とその要因についての研究がありますのでご紹介いたします。この研究の結果では主観的健康感に関係する要因としては、人生において夢中になれるものがあること、規則的生活をすること、スポーツを観戦することが主観的健康感に影響を与えるとしています。

 この結果で思い当たったことがあります。ラグビーワールドカップで日本は惜しくも準々決勝で敗退しましたが、患者さんの1人がラグビーの観戦で睡眠不足になったと言っておられました。こちらも「少しぐらいの睡眠不足はかまいません、一生懸命応援してください」と答えました。ラグビーのテレビ観戦の例をあげましたが、人生において一生懸命になることが何かあることが、患者さんの健康感を高めることに重要ではないかと考えます。現在、阪神はオリックスと日本シリーズを戦っています38年ぶりの「あれ」を目指して皆で応援しましょう。

 この研究ではさらに、主観的健康感に規則的生活が関係しているとしています。規則的生活とはまさに良い生活習慣を維持するということであり、生活習慣の改善は生活の満足度、個人の健康感に良い作用をもたらすことが示唆されました。

 最後にご高齢の方が健康感を持ち、楽しく生きるためのこつを一言述べさせていただきます。どこで読んだのか思い出せないのですが、誰かのエッセイにこんな記述がありました。「若いうちはどのようにしても楽しい、ただし高齢になって人生を楽しむにはセンスが必要だ」。わたしも高齢と言われる年になり、この言葉を身に染みて実感します。最近寝る前に重めの食事をするとよく眠れず、翌日も胃が重いことがあります。飲み過ぎると次の日にこたえるようになりました。過ぎたるは及ばざるが如しなどと言います。自らのセンスでやり過ぎをセーブしましょう。いくら楽しくても、おいしくても程々というのが必要です。皆様も規則正しい生活、良い生活習慣を維持し楽しく毎日をお過ごしください。

追伸 阪神タイガース日本一おめでとうございます!

カテゴリー:お知らせ   |   2023年11月3日

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