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マインドフルネスを通じて健康な心を保つために

### マインドフルネスを通じて健康な心を保つために

こんにちは。今日は、ストレス社会において心の健康を保つための方法として注目されている「マインドフルネス」についてお話しします。マインドフルネスとは、過去や未来に囚われず、今この瞬間に意識を集中させ、心と体の感覚をありのままに受け入れることを目的としています。ストレスの軽減や集中力の向上、感情のコントロールに役立つ実践方法です。

### マインドフルネスの基礎

マインドフルネスのルーツは仏教の瞑想にありますが、現在では科学的にもその効果が実証され、心理療法や医療現場でも広く使われています。マサチューセッツ大学のジョン・カバット・ジン博士によるマインドフルネスストレス軽減法(MBSR)がその代表例です。これは、うつ病、心身症、ストレス関連疾患に効果があるとされています。

### 実践方法:呼吸瞑想

今日ご紹介するのは、最も基本的で誰でもすぐに始められる「呼吸瞑想」です。この瞑想は、以下のステップで行います。

1. **姿勢を整える**
 リラックスできる姿勢で座ります。背筋を伸ばし、肩の力を抜いてリラックスしましょう。

2. **呼吸に集中する**
 ゆっくりと深呼吸をし、息を吸うときに「吸っている」、息を吐くときに「吐いている」と心の中で確認します。呼吸の感覚に意識を向け、体の中を通る空気の流れを感じましょう。

3. **雑念を手放す**
 瞑想中に雑念が浮かんできたら、それに名前を付けて手放します。例えば、「仕事のことが気になっている」「明日の予定が頭に浮かんだ」などと認識し、その思考を手放して再び呼吸に意識を戻します。この過程が重要です。雑念が浮かぶことは避けられませんが、意識的にそれを手放すことで心をクリアにする訓練ができます。

4. **終了**
 1分から5分、慣れてきたら10分間、呼吸に集中して行います。終わった後、少し静かに座り、自分の心の状態を確認しましょう。

### マインドフルネスの効果

呼吸瞑想は、短時間でも続けることで心と体に多くの効果をもたらします。具体的には以下のような効果が期待できます。

– **ストレスの軽減**: 呼吸に集中することで、脳のストレス反応が抑制され、副交感神経が優位になります。これにより心が落ち着き、リラックス効果が得られます。
– **集中力の向上**: 定期的に瞑想を行うことで、注意力や集中力が高まり、仕事や学習のパフォーマンスが向上します。
– **感情のコントロール**: 雑念や感情に名前を付けて手放す練習を通じて、感情を冷静に観察し、過剰な反応を抑えることができるようになります。

### 日常生活でのマインドフルネス

マインドフルネスは特別な時間を設けるだけでなく、日常生活にも取り入れることが可能です。例えば、食事中に食べ物の味や食感に意識を向ける「食べる瞑想」や、歩くときに足裏の感覚に集中する「歩行瞑想」など、普段の生活の中でマインドフルネスを実践することもできます。

### まとめ

マインドフルネスは、日常の中で誰でも簡単に取り入れることができる健康法です。特に呼吸瞑想は、忙しい中でも1分間の実践で心をリセットすることができ、ストレスの軽減や集中力の向上に役立ちます。ぜひ、毎日の生活に取り入れて、心身の健康をサポートしていきましょう。

最後に、マインドフルネスは完璧を目指すものではありません。できなかった日があっても、それを受け入れてまた新たな気持ちで実践を続けてください。継続することで、その効果を実感できるようになります。

上記内容は令和6年9月30日、兵庫県医師会主催産業医講習会での岩井圭司先生のご講演をもとに作成いたしました。

カテゴリー:お知らせ   |   2024年10月2日

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