発熱とうつ熱
最近、患者さんの勉強会のために調べ物をしていて、気がついたことがあります。
人間の体温は脳の視床下部というところで調節されています。感染症などで発熱するときは
視床下部で体温の設定値がより高い値に設定されるため体温が上昇します。この体温を
高く設定するためにプロスタグランディンという物質が働くため、プロスタグランディンの作用を
抑える解熱剤で熱を下げることができます。これに反してうつ熱は外気温が高いにもかかわらず
脱水や心機能低下により発汗などの体温を下げるメカニズムが正しく働かず、熱が体内にこもる
状態を指します。この場合には体温の設定値には変わりがありませんので、解熱剤は効きません。
治療にはまず水分を補給し脱水を改善する、クーラーをつけて部屋の温度を下げるなどの処置が有効
なことが多いです。よく看護師さんが、今は熱がこもっているだけですぐに良くなりますよ、
などと言いますが、これなど経験から来る確かな直感であり、さすがにベテランの看護師さんはすごいものだと、
いつも感心しています。
カテゴリー:院長のひとりごと | 2012年6月16日