心不全を治療するとき注意していること
心不全では心臓のポンプ機能が低下するためいろいろな症状が
起こります。その中で体の浮腫みは患者さんを悩ませる症状の
ひとつです。心不全での浮腫みは体の下の部分に起こって
きます。例えば立って歩くことが出来る人は足に、寝たきりの状態の
方ではお尻の仙骨のあたりに、圧迫すると特徴的にはしばらく痕
が残るような浮腫みが起こります。
このような浮腫みの治療には利尿剤という体から塩分と水分を
排出させる薬が有効です。現にほとんどの場合、利尿剤で効果的
に浮腫みを治療することができます。ただここで気を付けないといけない
ことは、利尿剤を心臓というポンプから拍出される血液量(心拍出量)を
低下させるまで使ってはいけないということです。心拍出量の低下した
方は自覚的には立ちくらみを訴えたりしますし、診察しますと手足が冷たく
なったりします。
すなわち心不全を利尿剤で治療するときには、浮腫みが取れること
だけではなく、経過中に心拍出量が低下していないか常に注意する
必要があります。心臓超音波で心拍出量を正確に調べるのは
なかなか困難ですが、幸い心臓が1回拍出する血液の量を調べる
簡便な方法がありますので、心不全で利尿剤を使う場合には
あらかじめ測定するようにしています。
カテゴリー:高血圧と心不全 | 2014年10月19日